『「いき」の構造』 著:九鬼周造
角川ソスィア文庫 岡倉天心著、大久保喬樹訳の『茶の本』に登場して、気になっていた本。
何でもこの九鬼周造のお母さんと岡倉天心が不倫関係にあったとか、、。
いくら偉大な人でも不倫はするし、昔からある人間の性(さが)なのかなぁと。
そう考えると一夫一妻制よりは、一夫多妻、多夫多妻制の方が人間の本質には沿っているのかもしれない。
まあそれはいいとして、本書は研究者であった九鬼が、日本の独特の価値観、「いき」とは何か発表した論文が基になっている。
論文だけあって文体は堅苦しく、読むのに頭を使う本だった。
九鬼によれば「いき」の本質とは
・異性に対しての「媚態」
・武士道の精神からくる「意気地」
・道徳感、宗教観からくる「諦め」
が合わさったものだと言う。
媚態があまり聞きなれない言葉だったけど要は、「艶かしさ」だったり「色っぽさ」だったり、あまり直接的でない性的なことだった。
言い換えば「いき」とは
「垢抜けて」「凛とした」「色っぽさ」
のことだと感じた。
今まで「いき」に性の感情があることを意識したことはなかったけど、よくよく考えてみたら
性=魅力のことで
魅力のない「いき」な人はいない。
そしてこの章で学んだのは、東洋思想において、「諦め」は共通するキーワードだということ。
中国の仙人や仏教にも共通していて、俗世に惑わされない、自然的な心の持ちようが東洋思想において重要視されている事柄なんだなと改めて感じた。
「諦め」は「侘び」や「寂び」、余計なものを取り除くことだとも解釈できると思う。
自分の料理にもこの「諦め」の精神を取り入れて、より日本人的なイタリアンが作れたらいいなと思う。
具体的には、
・素材を活かすために余計なものは削ぎ落とす
・「侘び寂び」を感じられる見せ方
を意識する。
そのためにも
・日本料理の技法
・江戸以前の日本芸術
について勉強する。
まだまだやることはいっぱいある。頑張ろう。