na0snowの備忘録

日々の読書の備忘録。

『ぶれない軸をつくる東洋思想の力』 著:田口佳史、枝廣淳子

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東洋思想という言葉に惹かれて、中古で即決購入。

中身も大して見ずに買ったのだけど、すごく読んで良かったと思える一冊でした。

 

 

東洋思想研究家の著者が人生を「春」「夏」「秋」「冬」の四つに分けて、それぞれどんなことを大切に生きていけばいいのか、東洋思想の考えを示している。

 

 

まず「春」は幼少期について。

この章は子供の育て方、育ち方について、全ての親に読んでほしいと思うくらい凄く大切なことが書かれている。

 

教育とは「教える」ことではなく「引っ張り出してあげる」ことだということ。

より良い人生を歩むためには「徳」と「孝」を身につけなければならないということ。

 

そして「徳」を身につけるために、3歳までは母親の無償の愛情「慈愛」と父親の愛「義愛」を目一杯注いであげる。

そうすれば、子供には四端が芽生え、それをのばすことで、儒教における大切なもの、四徳を身につけることが出来る。

 

四端とは惻隠、羞悪、辞譲、是非の心で、

困っている人を気の毒だと思う心、不正・悪を憎む心、譲り合う心、道理に従って判断する心。

それらをのばすことで惻隠は「仁」、羞悪は「義」、辞譲は「礼」、是非は「智」になる。

 

など東洋思想の大切なこと。そして江戸時代の優れた教育方法などが分かりやすく書いてある。

 

 

「夏」は青年期の自分の育て方について。

自分を磨く=理性を磨くこと で、「克己」、「憤独」、「自反内省」が大切。

 

「克己」とは楽な方に流れる弱い自分に打ち勝つこと、

「憤独」は一人の時に手を抜かずにやること、

「自反内省」は自分を見つめ、弱点・欠点を受け入れ改善のために努力すること。

 

など、自分を磨くための方法が書かれている。

 

 

「秋」は成年期。

辛いことや苦しいこともある人生を陰陽論で考えて乗り越えろと示す。

 

辛いことや苦しみは「自分の成長のチャンス」だと捉え、

好調の時も「これはいつか終わること」だと意識して、セーブする力を身につける。

 

 

「冬」は人生の終わりを東洋思想の死生観で記している。

 

 

儒教道教、仏教、神道など数多くある東洋思想の共通する部分、核となる部分をまとめて書いてあるので、凄くわかりやすい。

 

特に強く印象に残っているのが教育に関してのことで、今の教育は「より良い人生」を教えていないからダメだと著者は言う。

「より良い人生」をおくる為には「徳」と「孝」を身につけて、「感謝の人間関係」を作ればいい、 と記す。

 

「引っ張り出してあげる」ことを意識して、子供たちがより良い人生を歩んでいけるように教えてあげたいと思う。

 

ただ、まだまだ自分自身が「徳」も「孝」も身につけられていないと感じるので、自分も一緒に成長しながら、歩んでいきたい。