『日本の目覚め』 著:岡倉天心 解説:入交雅道
図書館本。
『茶の本』の著者、岡倉天心による日露戦争の真っ只中に書かれた、文化論。
日本という国は一体どういう国なのかということを海外向けに分かりやすく説明している。
中国、インドを含めたアジアの昔から、日本での価値観の変遷、日本とヨーロッパの邂逅まで、歴史書としても使えそうなほど、詳しく、文化人の岡倉天心の視点で説明されている。
今回特に勉強になったのは、
・モンゴルの襲来による各国の変化
・徳川幕府の日本統治の方法
の2つ。
まず、モンゴル襲来については
かつてはアジアを牽引していた文化の国だった中国がモンゴルの襲来によって、宋から元になることで、文化的に一気に荒廃したこと。
モンゴル襲来前、隋、唐、宋の時代には日本は中国から多大な影響を受けていた。
しかしこの元以降は日本が戦国時代に入ったこともあって、中国文化を手本にすることは少なくなっていった。
その為、この時代から日本独自の文化、芸術が花開いていく。
モンゴル民が日本に攻めてきた元寇。
もしこの元寇で鎌倉幕府が敗れていたら、日本も中国やインドと同じように文化の荒廃があったのかもしれない。
次に、徳川幕府の統治方法。
徳川幕府は日本を多数の階級に分割することで、一体感、団結力を弱め、統治を可能にした。
江戸時代、階級としては士農工商に分かれていたとされる。
しかしこの士にも親藩、譜代、外様と分割し、その大名ごとに土地を治めさせ、外様の隣国には譜代をおき、隣国との団結などは出来ないようにした。
つまり組織にしろ国にしろ、分割すればするほど団結力は弱まっていく。
分割と団結力は反比例する。
そのことを良く理解していた家康だからこそのこのシステムなのだと思う。
逆に言えば団結力を生み出すには、分割はしない方がいい。
厨房、ホールと役割を分ければその分厨房とホールの間には溝ができて、団結は弱まる。
「店員」として厨房もホールも関係なく、仕事していく。そんなシステムを作ることが重要なのかもしれない。