『老子・荘子の言葉 100選』 著:境野勝悟
中国春秋時代に生きた老子と宗代に生きた荘子。老荘思想と呼ばれるこの思想が後の道教の元になったといわれている。
道教の思想は大まかに
この宇宙を成り立たせている偉大な力「道」、それと比べるとちっぽけな自己の存在にこだわり、名誉やお金、争いに執着せず、道に感謝してありのままに生きなさい。
という思想。
孔子がつくった儒教が統治する側の教訓を説いたのに対して道教は、あくまで1人1人の人生観について述べている。
本書もだいたいの内容はそれと同じで述べられているのはありのままの自分を大切に、人と争わず、生きなさい。ということ。
その中でも面白いなと思ったのは
植をこねて、もって器を作る、その無に当たりて器の用あり
という「無の用」の話。
意味は
粘土をこねて、茶碗を作る。茶碗の内部の空っぽの部分があるからこそ役に立つ。
ということ。
考えてみれば当たり前の話なんだけれど、僕らが普通に生活している分には全然意識していないことだなぁと。
レストランも家も車も、空っぽの空間があるからこそ役に立つもの。
それなのに普段はその外側だったり内容だったり、目に見える部分のみを意識してしまっている。
この話の教訓は
その物の本来の役割を果たすことが大切なのであって、その外側の部分の見栄えだとか、値段だとかは関係ないよ
ってことだと思う。
それは人間にもいえることで
いくらブランド品や高級車、あるいは顔、もしくは資格や称号がある人でも、その人の行動こそがその人本来の価値なんだと思う。
今は物が溢れて見た目を取り繕うだけならいくらでも出来る時代。
だからこそ自らの内面を磨いていかなくてはならない。